2023年12月4日月曜日

場面緘黙&場面緘動が治った経緯

幼稚園入園時から、場面緘黙症になったPoKuちゃん。
今では友達もたくさんでき、声も出せるようになった。

ここでは場面緘黙症だったPoKuちゃんが
どうやって治って行ったかを記しておく。
1つの参考事例になればと思うよ。


PoKuちゃんが生まれて、しばらくしてコロナパンデミックが起こった。
上の子の時にはいろんな幼稚園のプレ保育に行ったり
市の子育て支援センターに遊びに行ったりと
色んなところに行っていた。

でもPoKuちゃんの就園前はちょうどコロナが流行っている時で
そういったものには全く参加せず
接する人といれば接する人といえば家族が親戚。

早生まれのPoKuちゃんは言葉の発達がやけにゆっくりだった。
お姉ちゃんは1歳半にしてかなり流暢に、
年齢の割に理路整然として話をしていたのに
まだ喃語で喋ってるような感じ。

そんなPoKuちゃんが入園することになった。
入園前、保育士さんが一人一人の親御さんに
気になる点を聞いて回っていたけど
みんなコロナで制限された生活を送っていたので
特に対人関係を心配しているようだった。

そうして始まった幼稚園生活。
PoKuちゃんはかなり緊張して、しょっちゅう固まってしまっているようだった。
それでも1ヶ月もすれば、慣れるだろう、と思っていた。
でも1ヶ月経っても、ゴールデンウィーク過ぎても
まだまだ緊張度合いが強いようで
動けなくなってしまっていたみたい。
3ヶ月が過ぎ、個人面談の時に先生が困った顔で言った。

「私、まだPoKuちゃんの笑顔を見たことがないんですよ。
声も聞けてなくて」

発達の先生に聞くと、場面緘黙(ばめんかんもく)の傾向があるのかな、ということだった。
場面緘黙?何それ?

私はその時初めて、場面緘黙という言葉を知った。

調べてみると、家ではよく喋るけど、家の外や特定の場に行くと
全く声が出なくなってしまう症状らしい。原因は分かっていないという。
また、同様に外で動けなくなってしまう、
場面緘動(ばめんかんどう)というのもあるらしい。
幼稚園入園や、入学などの環境が変わったタイミングで起きる事が多いらしい。

PoKuちゃんは、家では大騒ぎしてるけど、幼稚園では固まってしまっていた。
先生の指示は理解できる、動かないといけないのもわかる、
でも大勢がわしゃわしゃいるところに入って行くのが怖いという感じだった。
運動会の時も固まって動けなくなってしまっていた。
PoKuちゃんは場面緘黙と場面緘動の両方だったみたいだ。

私は場面緘黙に関する本をいくつも読んだ。
場面緘黙がなぜ起こるのか、原因究明されてないし、
いまいちわからないことが多い現象だけど
対処法も存在することが分かった。

その中で、非常に役立ったのがこちら。

場面緘黙支援入門: 幼稚園や学校で話せない子どものための(詳細を見る)

この本の中で紹介されている、
段階的エクスポージャーと刺激フェイディング法。

部屋(教室など)にお母さんなど、会話ができる人と場面緘黙の子が入って会話をする。
ドアは閉めた状態。

徐々に、ドアを開けた状態で話ができるようにする。

そのドアの前を先生などが時折通ったりする。
でも会話を続ける。

部屋に先生が時折入ってきたりする。
でも教室では親と会話を続ける。

先生が親子の会話に入ってくる。
声が発せられるようになったら

会話の途中で親が席を外す。

こうしたスモールステップで場面緘黙を解消していくという方法があると知った。
そこで言語療法士さんに話をして、こうした試みもさせてもらった。
正直、面会は4ヶ月に一度程度なので、
ドラスティックな効果が期待できたわけではないけど
言語療法士さんがいる前で、すごく小さな声で私に囁く程度だけど
一応人前で声が出せるようにはなってきた。

私たちはPoKuちゃんをできるだけいろいろな場に連れて行くことにした。
入団はまだできないけど、上の子のボーイスカウトの場など
人が大勢いるような場に付き添いとして連れてったりとか。
別に喋らなくても、人がたくさんいるということ自体に
慣れるといいなと思ったのだ。

徐々に習い事も始めることにした。
幼稚園に入ったら、サッカーとかやるかなーなんて思ってたけど、
PoKuちゃんにはとてもできそうにない。
いろいろ試してみて、何か一つでも打ち込めることがあればと思っていた。

親子でできる、合気道とか空手とか武道系で
心を強くするというのはどうだろう?
と思って近くの教室に問い合わせてみたけど、空きがない状態だった。

そんなある日、お姉ちゃんのプールの送迎をした。
プールを見ているPoKuちゃん、とても興味津々。
それで水泳をやってみることにした。
水泳は親子一緒ではないし、大丈夫かなー?と思っていたんだけど。

これが思いがけない大ヒットだった。
毎回すごく楽しみにしていて、
プールから出てきた瞬間
「また入りたい!」って。
生き生きとした顔をしている!

いくつか試した中で、ハマるものが見つかれば、と思ってたけど
こんな早く見つかるとは!
ほんとによかった!

少しずつできることが増えてきて
合格するとワッペンなんかももらったりして
そういったことがすごく嬉しかったのか
自信もついてきたようだった。

半年後。
幼稚園では相変わらず言葉を発していなかったみたいだけど
ありがたいことにPoKuちゃんに、すごく仲の良い友達ができた。
いつもその子と遊んでるという。

先生曰く、
声は聞いていないけど、
一緒に遊んでいるので、
何らかのコミュニケーションを
しているんだと思います
とのこと。

4ヶ月に一度会う、言語療法士さんの所には
くるまのおもちゃがいっぱいあって
そこに早く行きたがるようになった。

そしてすごく小さい声だけど、
その言語療法士さんとの場で
声を出し始めた。

3学期。
相変わらず園では大人しかったようだけど
友達関係は順調のようで、複数人の友達と遊んでいるようだった。
先生の指示で動くこともできるようになっていた。

ただ、気になるのは、
PoKuちゃんが時折、「先生が怖い」と言うこと。
怒られたりしたわけでもないらしい。

実は、確かに私も怖いと思う時があった。
怖い要因を探ってみたんだけど、それはズバリ

目かも。

この先生、マスクした顔の目が笑ってない感じがするのよ。
そこである時、先生に
「できる限り目で笑い笑いかけてあげてください」
とお願いした。
それ以来、PoKuちゃんは、先生を「怖い」ということはなくなった。

それで確信した。
これまで家で、マスクなく表情も見えていたのに、
幼稚園が始まったとたん、マスク生活。
知らない人がいっぱいいて、皆マスクしてて、
目しか見えなくて、表情も見えなくて・・・
それは確かに怖かったかもしれない。。。
今思えば、それも一つの要因だったかもしれない。

そして。
それまで言葉の発達が遅かった、早生まれのPoKuちゃんは
4歳を過ぎたあたりから、いきなり言葉が急激に増え始め
たくさんしゃべるようになった。

そして年中。
コロナ生活は解禁となり、マスクも減り
本格的に日常が戻ってきた。

例の一番仲いい子とはまた同じクラス。
以前は固まってしまっていた幼稚園の行事も
普通にこなせるようになった。

先生は
「何の心配もありませんよ
PoKuちゃんよく頑張ってますよ」
と笑顔で言ってくれた。

PoKuちゃんの友達はだんだん増え
自分から友達を誘うようにもなった。
公園で大きな声を出してはしゃいだり
みんなで鬼ごっこをしたり。

場面緘黙と言われた時は、
このままずっとそうなのかな、と覚悟してたけど。
この1年半で、大きく成長したPoKuちゃん。
子供ってどうなるかわからないもんだねー。

こんな事例もあるってことで。
今場面緘黙で苦しんでる方々も
希望を忘れずにいてほしい。

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